届かない電文 - 「沖縄県民斯ク戦ヘリ 県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」

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《AIによるカラー処理》那覇飛行場概観。上空には監視用の飛行機(1945年6月6日撮影)General view of Naha airfield. Our spotter planes overhead.

写真が語る沖縄 詳細 – 沖縄県公文書館

 

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【シリーズ沖縄戦】74年前の今日
1945年6月6日 『沖縄県民の実情』
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74年前の今日、
 
大田実海軍少将は、沖縄県民が置かれた「実情」を海軍次官に伝えた。
 
これほど沖縄戦の実態を短い文章でかつ的確に記したものはないとおもわれるほどの文である。
 
ところが、
なんということか、
 
沖縄デマで有名な手登根安則や軍服のキャスター我那覇真子らがキャスターをつとめるネットテレビは、大田中将の最期の打電「沖縄県民斯く戦えり」という部分のみを切りだし、自分たちの番組タイトルとして、うんざりするほど利用し消費してきた。
 

【沖縄の声】反基地感情が子供に牙を向けた!ハーフ女児暴行事件!報道されない辺野古活動家の異常さ[桜H27/4/7] - YouTube

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手登根安則の「ハーフ女子暴行事件」デマをそのまま記事にした八重山日報は、その後責任すらとっていないが、デマとわかってもいまだに動画を流し続けるチャンネル桜

 
 
実は、このこと自体が、かれらが主導してきた「集団自決」否定論や教科書論争、沖縄で声を上げる女性たちへのネットハラスメント、そして数々の沖縄デマをあげつらうまでもなく、
 
 
いかにネトウヨが歴史の知識もなく、またちゃんと「テクスト」すら読めていないか、を如実に表す証左となっている。
 
ハーフ女子暴行デマなど数々の沖縄ヘイトやデマを拡散してきた彼らが「斯く戦っている」のは、たかだか「パヨク」(左翼?) という「仮想敵国」であることを考えれば、
 
軽妙な音楽と共に、彼らがこの大田実中将最期の打電を都合よく消費していく姿は、むしろ滑稽なほど「反日的」で「売国奴」的ですらある。
 
 
大田実中将はその温厚な人柄で知られているが、陰に隠れて汚いことをする人間を見逃すような人ではなく、こそこそと陰で卑劣なことに手を染める卑怯者を決して許さない人であった。
 
斯ク戦ヘリをただの極右番組キャッチコピーに利用するボギーてどこんらは、海軍司令部壕で怒りのいかづちに鞭うたれることだろう。
 
 
もう一度確認しておく。
 
第32軍の軍令にも従わず南下しなかった、この海軍の司令官が、最期の電文で何を伝えたかったのか。
 

 

okinawa1945.hatenablog.com

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自分の大切な部下を32軍に捨て石のように扱われ奪われた、この海軍の中将は、

 

利用されるだけ利用され、打ち捨てられて焦土を逃げ惑う県民たちに、自分たちの使い捨てられた部隊をも重ねあわしていたのかもしれない。

 

しかも、よく読んでほしい。

 

この最期の電文で、「皇国ノ必勝ト安泰トヲ祈念シ」や「天皇陛下万歳」などという当時の軍の定型文は、一切、使っていない

 

それどころか、軍が県民を顧みなかったこと、二軍のはざまで、とれだけ焦土と化した沖縄で県民の命が奪われたかを訴える。

 

皇国賛美も万歳も皇軍の偉業も、一切なしだ。

 
本土に「沖縄県民の実情」を理解させるため、
彼は最後の打電にその想いすべてを託した。
 
しかし、
 
74年たった今も
 
大田中将の沖縄から発せられた最期の電文は
本土に届かない。
 
県民ニ対シ後世特別ノ御高配、どころか、
 
今も「しゅくしゅく」と
沖縄は本土の捨て石にされている。
 
 
本文はこちらから。⇩

1945年 6月6日 『沖縄県民の実情』

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