仮設病院施設。沖縄にて。/ Okinawa. Temporary hospital facilities.
沖縄人にとって「祖国」とは、なんだろう。
琉球王国という「国」を処分され、大日本帝国に併合されたあとは、沖縄人の「祖国」は、いきなり日本国になった。
琉球/沖縄には12世紀頃から「国王」がいて、アジアの国々は、琉球/沖縄を「国」として認めてきた。
当然のことながら、12世紀に「大日本帝国」は存在していないので、古来から琉球/沖縄が「日本国」の一部であったはずはない。
大日本帝国は、沖縄人に武力と圧力で「日本国こそが沖縄人の祖国」という観念を植え付けてきた。
誰かが無理矢理に押し付ける「もの」は、一時的には定着したとしても、何かの拍子で崩れる。
73年前の沖縄では、押しつけられた「祖国」の統治はなくなり、新しい権力が統治を始めていた。
しかし、その後、沖縄県民は「祖国復帰」と言い始め、日本国による統治を自ら望み、それを叶えた。
その望みの先にあったのは、今に続く米軍基地問題と、日本政府による冷遇だ。
沖縄人の「祖国」が日本国であるならば、
なぜ、日本国政府は沖縄県民が望む形での問題解決をしようとしないのか。
沖縄県民よ。
いま一度、考えてほしい。
沖縄人にとって「祖国」とは、なんなのか。
「沖縄人の祖国」は、130年以上も前に、日本国によって処分され、永久に葬られた。
しかし、「沖縄人の祖国」は、沖縄人の心に、魂に、そして伝統行事や文化、風習、芸術や芸能の中で存在し続けている。
行政や社会を統治する「国」が「祖国」だとは限らない。
沖縄県民よ、そのことに気づいてほしい。
1945年 9月5日 『祖国という観念』
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