兵力が足らないのに、なぜ逆上陸したのか

75年前の今日

首里城の下にある第32軍司令部壕で
戦勝前祝会なる酒宴がひらかれた。

禁欲的記録しか残さぬ八原高級参謀の手記によると、「盛装の娘たちが華やかに酒間を斡旋」したとある。

しかし、その同じ時、
制空権も制海権もなく、バックアップ部隊もない状態で「逆上陸」という突拍子もない作戦に送り込まれた約1200人の若い兵士は「ほとんど全滅」し海に沈んだ。

前日の5月2日、急遽、反攻計画の連絡を受けた伊藤隊長は、この戦況下で攻勢とは、一体何を考えているのか、腐れ参謀どもが!と記しているが、

現場にとっては、おそらくこれでも
かなり控えめな本心であろう。

そもそもこの作戦変更は、一ヶ月前の天皇の言葉によってもたらされたものだった。

「現地軍は何故攻撃に出ぬか、兵力足らざれば逆上陸もやってはどうか」

そこから第32軍司令部壕は二転三転どころか、七転八倒の様相で涙をハラハラと流しながら反攻計画に転じ、数日前に各現場の部隊に伝えられる。

これで成功する方がおかしい。

なぜ日本でこれほど封建的な直下型の「御言葉」構造がまかり通ってしまうのか、

「兵力足らざれば逆上陸もやってはどうか」と、天皇が語ったというが、そもそも

「兵力足らざれば、逆上陸もやってはどうか」
⭕️「兵力が足らなければ、なぜ逆上陸などできようか」

食べるパンがないなら、ケーキを食べたらどうか、と同じ支離滅裂な思いつきであるが、

いまだにこの国では、こうした上層部の「思いつき」レベルが、直下型で末端の国民を苦しめる。

昭和の布マスクで「不安がパッと消える」…、そんな国民を馬鹿にしきった妄想に、利権政治家が甘い汁を求めてよりあつまり、本来有効に医療現場で使われるべき予算が消失する。

どれだけこの国は権力に弱いのか。

部隊が全滅の危機に瀕しながら、
それでも司令部は「戦勝前祝会」でほろ酔い気分である。